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JVCケンウッド「HA-SZ2000」「HA-SZ1000」ブロガーイベントレポート

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 4月24日にITmedia主催JVCケンウッド ブロガーを対象としたタッチ&トライイベントが行われました。ヘッドホンはつい最近、購入であれこれ悩んだところです。興味があったので参加させていただきました。
 当日発売されたばかりの「HA-SZ2000」「HA-SZ1000」を、実際にさわって、試聴することができました。5月下旬発売予定で、一般人が触れるのは今回はじめてだそうです。店頭では「HA-SZ1000」が2万5000円前後、プレミアムモデル「HA-SZ2000」は3万5000円前後になる見込みとのこと。
 当日は25名ほどのブロガーが集結し、開発者やAV評論家・潮晴男先生による話に聞き入っていました。
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発表されたばかりのヘッドホンを試すことができました!
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聴き比べOKとのこと。私は自分のスマホに入っている音楽を楽しみました
他のブロガーの皆さんも聴き比べを楽しみにしていたようです

■掲げるコンセプトは「原音探求」
 同社ホーム&モバイル事業グループ 技術統括部商品設計 AVC部 江野澤仁嗣さんが開発意図や商品コンセプトについて語ってくださいました。
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江野澤さん。商品にかける思いが熱い!
「コンセプトは独自技術による原音探求を掲げています。原音探求というのは、アーティストがレコーディングスタジオで記録したマスターテープのこと、すなわち原音に込めた思いを忠実に再現することを基本理念に掲げて開発に取り込んでいます」
 驚いたのですが、市場ではインナータイプよりもヘッドバンドタイプが伸びているんだとか!
 「昨年発売したイヤホンは、リアルな重低音と、解像度の高い中高音再生の両立を掲げ、お客様からは"存在感がありながらボーカルを邪魔しない重低音と臨場感"と高く評価いただきました。
 そういった背景をふまえて、ヘッドバンド型ならではの迫力に加えてインナーイヤータイプでも掲げていたリアルな、あたかもそこにいるような臨場感を感じられる、そういったヘッドバンド型のヘッドホンが作れないかと考えました」
 具体的にどんな音を目指しているのでしょうか。
 「例えば、スタジオ音源でしたらスタジオセッションに参加しているような、ライブ音源でしたらライブ会場、コンサート会場なら特等席で聴いているような、そういったヘッドホンができないかと考えたわけです。基本コンセプトは臨場感をこころよく味わうこと、そして装着性、デザインを追求しています」
 次に、ホーム&モバイル事業グループ技術統括部商品設計第三部 三浦拓二さんが技術的なことについて解説してくださいました。
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三浦さんによる解説。もっと詳しく聞きたかったなあ
「去年発売したFXZのインナーイヤータイプの今回はオーバーヘッド版です。とにかくこれは低音をしっかり出したいんですが、1つのユニットで低音も中高域もすべて出すのは難しい。スピーカーでもそうですが、フルレンジユニットでは中域はしっかり充実していますが、高域では足りなくなる場合があります。そこで、高域は専用のユニット、低音は低音専用のユニットで採用しました。
 この仕組みは普通のスピーカーでは珍しくないのですが、ストリームウーハーダブルバスレフを、ヘッドホンにも応用したことがポイントです」
■ダブルバスレフ方式+ケルトン方式、ダクトを2重に
「ケルトン方式とは、ドライバーユニットを前の部屋と後ろの部屋で筐体を覆ってしまいます。音はどこから出すかというと、ダクトを設けてダクトから音を出します。そうするとフルレンジが出てこないんですね。中高域をカットした低域だけが出てきます。
 それを応用してヘッドタイプを作ろうとしたところ、失敗してしまいました。なぜ失敗したかというと、ダクトが0.4mmと注射針のサイズだったからなんです。ダクトを通過しているうちに高域が減衰して、低音しかでてこない。
 今回はオーバーヘッドなので、空気の部屋が大きく、大きな音を鳴らさなければなりません。大きい部屋に低音を鳴らすためには、ダクトを太くする必要があります。今回は内径4mmから8mmくらいのダクトを使いました。ダクトが太いから中高域の音がアップできるはずなんですが、いまひとつでした。そこでケルトン方式と、さらにダブルバスレフ方式を採用しました。ダクトを2重で通すことで改善されています」
 このあたりは熱く語ってらっしゃいました。正直言って技術的なことはよくわからず、ポカーン状態でしたが(汗)、ヘッドホンの中身がこんなに複雑だとは思っていなかったので、色々大変なんだな……とビックリしました。もう少しかみ砕いた説明が聞きたかったです。
■細部の素材にもこだわり!
 振動板やチューブ、マグネットなど、素材にもこだわっているとのことでした。
「音出すのはドライバーユニット。ドライバーユニットの質が大事です。低音用の55mmの大きいサイズを使っています。低音は物理量が必要で、風を出さなければならない。そうすると大口径のほうが有利になります。振動板の材料も、低音用といのは固すぎてもダメです。キレイな低音を出すために、カーボン振動板を採用しました。
 フロントの中高域に使
うユニットですが、小さめを使っています。低音は低音ユニットに任せて中高域をキレイに出したいということで、カーボンナノチューブを採用しています。
 マグネットは360kJ/m3のネオジウムマグネットを使っていますが、今回は入手できる中で一番強力なものを使っています。ウーファー用、広域用両方に採用しています。また、低音がしっかり出ているので、中高域が低音を出してしまうと干渉して、低音ばかり量が出てしまうので、中高域だけをキレイに出すように低音を切っています」
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こんなにたくさんの部品からできているんですね
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HA-SZ2000…のどこかの部品(笑)
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こっちはHA-SZ1000だと思います。全然違いますね
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こちらはHA-SZ2000。頭にあたる部分がメッシュになっています
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HA-SZ1000はメッシュになっていませんでした
■本当に「ポータブル」と言えるの?
 資料には「ポータブル」という単語が! この点についてはツッコミが入り、ホーム&モバイル事業グループ 技術統括部商品設計第三部 第一設計グループ 柳下裕治さんが答えていました。
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柳下さん。音質にはかなり自信があるとのことです
「確かに大きく重いのですが、今は思っていません。大きさについては、リアルな重低音ライブビートシステムを完成させるために、最低限最適化したうえで、この大きさ、容量を確保しています。
 ハウジング等の大きさも一番大きい部類だと思いますが、ポータブル性については折りたたみの構造にして、折りたたむと30%もコンパクトになります。重さは装着したときに第一印象は重いと思うかもしれないが、あまりの音の良さにはまって重さを忘れていくというか、感じなくなると思います」
 うーん。女性だからかもしれませんが、持ち歩きにはちょっとツライ。やはり家用かなと思いました。
■AV評論家・潮晴男さん「オーディオはゴールがない」
 気になるプロの評価はどうなんでしょうか。AV評論家・潮晴男さんのコメントです。
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AV評論家の潮さん。話がわかりやすく、とってもおもしろい!

 「使ってみた感想として、気になったのはケーブルの長さです。短いので、伸ばすケーブルが欲しいです。これでは自分自身の動く位置が制約されてしまいます。
 音は、特にライブレコーディングのソフトに対する適応能力は素晴らしい。映画もおすすめです。映像付きの世界にこの低音はグッときますね。
 ここまで作るのは、相当大変だったかなと思います。ダブルバスレフなんて、ふつうの発想ではない。ヘッドホンであっても、オーディオらしい音を追求していると思います。オーディオというのはゴールがありません。これからも新しい試みにチャレンジし、これで終わりではなく、もうひとつシリーズを作ってもらえたらなと思っています」
【感想】物作りに対する情熱にジーンときました!
 ここからは私の感想です。パッと見て思ったのは、男らしすぎるゴツゴツしたデザインで、正直言ってあまりスマートではないな…ということ。JVCケンウッドは、これに限らず、デザインにもう少し力を入れて欲しいです。ちょっとガッカリしてしまいました。男性向けですね…。
 もちろん、音は素晴らしいです。低音は効いていますが、下品にズンズンドンドンする感じはなく、高音とのバランスがよいと思います。1000と2000で比べると、やはりプレミアムモデルのほうが、音が響いて、深みがあるように感じました。
 ヘッドホンの技術的なことは正直よくわからなかったのですが、ヘッドホン作りにかける情熱、新しい技術に取り組む姿勢には心打たれるものがありました。個人的には試聴時間を減らしてでも、もう少しかみ砕いた説明を、ゆっくり聞きたかったです。
 ブロガーイベントははじめての参加となりましたが、とても楽しいイベントでした。JVCケンウッドの皆様、これからも頑張ってください! ついでに女性向けのかわいい&かっこいいヘッドホンも作って!(笑)
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お疲れさまでした!