炊飯器、次のステージへ。ダイズライス対応「本炭窯 紬」の実力とは?

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2025年5月30日、三菱電機とフジッコが共同開発したジャー炊飯器「本炭窯 紬(つむぎ)」が発売されました。それに合わせて行われた製品発表イベントでは、新モデルの技術的な解説、大豆ライスに特化した炊飯モードや低温調理機能などが紹介されました。

変化するお米事情と消費者ニーズ

近年、お米を取り巻く環境には大きな変化が見られます。異常気象による水不足や高温の影響で、お米の収穫量が不安定になり、価格の高騰も懸念されるようになってきました。その一方で、消費者の間では「自分の好みに合ったご飯を、安心して楽しみたい」というニーズが高まりつつあるそうです。食卓においてご飯の存在感が見直され、「おいしく、健康的で、満足感のあるご飯」に対する関心が以前にも増して強まっているとのこと。

ダイズライスはヘルシー

ダイズライス

特に注目されているのが、タンパク質をしっかり摂りたいという健康志向。筋力維持や代謝促進といった目的で、白米以外の選択肢に目を向ける人が増えているそうです。そうした流れを受けて登場したのが、フジッコが開発した「ダイズライス」。高タンパク・低糖質という特徴を持ち、健康的な主食として注目されています。三菱電機は、このダイズライスのポテンシャルにいち早く着目し、両社での共同開発が始まりました。

炭釜と連続沸騰が生む、“おいしさの違い”

新製品「本炭窯 紬」の大きな特長は、名前の通り“本物の炭”で作られた内釜にあります。純度99.9%の炭を高温で60日間かけて焼成し、丁寧に仕上げたこの釜は、IH加熱との相性が非常に良く、釜全体を均一かつスピーディーに加熱することができます。さらに、金属釜に比べて遠赤外線の放射量が多く、お米の芯までしっかりと熱が伝わるため、ふっくらと粒立ちのよい炊き上がりが特徴です。

もう一つの鍵となるのが「連続沸騰」技術。炊飯中に途切れることなく高火力を維持することで、炊きムラを防ぎつつ、気泡の力で米粒を立ち上げながら炊き上げていきます。その結果、甘み・艶・粘り・口当たりに優れたご飯が炊きあがるのです。通常なら火を弱めなければ吹きこぼれるようなシーンでも、強火のまま安定して炊飯が行えることをアピールしていました。

また、「本炭給水」機能によって、事前の長時間浸水なしでもしっかりと給水され、古米でもふっくら炊けるという工夫も施されています。炊き分けの細かな調整も可能で、「粘り」と「硬さ」を15段階から好みに合わせて選べる点も、多様なニーズに応えるポイントとなっています。

大豆ライスモードと低温調理で広がる“新しい家庭の味”

「本炭窯 紬」には、フジッコとのコラボレーションによって生まれた「大豆ライス専用モード」が搭載されています。大豆ライスは見た目こそお米に似ていますが、炊飯においてはまったく異なる特性を持ちます。比重が軽く、水中で浮いてしまいやすいため、一般的な炊飯ではうまくいかないことも多いとのこと。

そこで三菱電機は、従来の白米モードとは異なる“ゆっくり加熱する炊飯方式”を採用。大豆ライスのふっくら感と粒感を最大限に引き出すことに成功しました。白米と1:1で炊くことで、白米のもっちりとした食感と、大豆のプチプチとした食感を同時に楽しめるのも魅力です。

混ぜてみると下に白米が。よく混ぜます

さらに、近年注目が集まる低温調理機能も本機には標準搭載されています。「エブリデリ」と名付けられたこの機能は、炊飯器を活用してサラダチキンや豚ハム、サバの味噌煮などをじっくり加熱調理するというもの。高級炊飯器では調理機能を省いたものが多いのですが、同モデルは色々おかずも作れそうということで嬉しいですね。ジッパー付き保存袋を使うため、臭いも広がらず、後片付けも簡単。イベントでは試食も行われました。

米とダイズライス1:1。ダイズライス特有の香りがあります
しっとりしていたサラダチキン
ダイズライスはカレーとの相性もよし。カレーも炊飯器で調理

食を通じて「幸せのシェア」を届ける家電へ

今回のイベントでは、単なる新製品の紹介にとどまらず、両社の開発姿勢や食への思いも伝えられました。三菱電機は「しあわせをシェアしよう。」をコンセプトに掲げ、健康や食の楽しさを家族で分かち合うライフスタイルを提案。一方フジッコ担当者も、「大豆の新しい食べ方を広めることで、誰もが無理なく健康になれる未来を作りたい」と語ります。「本炭窯 紬」は、そんな両社の理念が実った製品ではないでしょうか。