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社外連携による新たなビジネスモデルの創出『BeeEdge』がなぜ必要なのか / クロスバリューイノベーションフォーラム2018 #パナソニック

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2018年10月30日から11月3日までパナソニック創業100周年記念「クロスバリューイノベーションフォーラム2018」が行われました。その中で、パナソニックは株式会社BeeEdgeへの出資について発表しました。

BeeEdgeは、新規ビジネスの創出促進を目的に、シリコンバレーを拠点とするVCのScrum Ventures(スクラムベンチャーズ)とパナソニックの出資により2018年3月に設立された合弁会社です。具体的にはパナソニックの家電事業等を所轄する社内カンパニーのアプライアンス社の中で、有望ではありながら事業規模などさまざまな理由からパナソニック本体では事業化できなかったビジネスアイデアをBeeEdgeが引き取り、スピード感を持って事業化につなげる目的だといいます。

そちらの発表やトークセッションがなかなか生々しく(?)おもしろかったのでご紹介します!

大企業は100→1000は得意だが、0→1は不得意。新規ビジネスを創出し、加速させたい

パナソニック株式会社 アプライアンス社 日本地域コンシューマーマーケティングジャパン本部 河野明本部長による発表が行われました。


河野明本部長

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創業時は3人でしたが、今はグループ全体で25万人の大企業となりました。

大企業になったことにより、投資に対する決心もしにくくなり、スピードが遅くなっています。尖りがある大企業であるためには、創業者としての精神を取り戻す必要があります。新しいことに対するチャレンジ、情熱を取り戻したい。しかし、社内でも取り組みましたが、なかなか実現できていません。

そこで、社外にBeeEdgeを作ることにしました。

役立つものを作りたい、ということで価値提供をしてきたが、今はモノだけでは満足を充足できないと考えています。

例えば、録画機DIGA。録画してタイムシフトをして見るだけではなく、ホームサーバーで的なものに変えていきたい。より世の中がモノ+サービスを求めています。

ただ現状では、我々の中だけでは世の中に変化についていけないと感じています。

家電や住宅は成熟期から衰退期へ

こちらはライフサイクルの位置づけを表しています。家電という大きなピンクのバルーンを見ていただきたいのですが、成熟期から衰退期に入りつつあります。

これからは、新しいバルーンを次から次へと生み出して柱にするためには数を生み出していかなければなりません。

そのために必要なのは何よりもスピードです。次の成長のために、新しいビジネスモデルを創出していければと考えています。

パナソニックは、100から1000にするのは得意ですが、0から1は生み出しにくい。社員のマインドもチェンジしていければと考えています。

そのために必要なさまざまなガバナンスの構築支援、ベンチャーの事業化の支援能力、外部の企業とのネットワーク、新しい新規事業の目利き力など通じて、新しいビジネスモデルの創出をしていきたいです。

■事業規模が小さくても、夢と情熱を持った人がチャレンジできる

ここからはBeeEdgeの春田真社長とパナソニックの河野本部長によるトークセッションをお届けします!

司会:改めてお聞きしますが、BeeEdgeが生まれた背景を教えてください。

河野本部長:何か企画を立てたときにシミュレーションをやったとしても、必ず成功するわけではなく、やってみないとわかりません。ただ、そういう意思決定を、パナソニックに限らず、大企業でスピーディにするのは難しいと思っています。日本の保守的な大企業の中で0から1、1から100にするのは時間がかかります。意識決定しにくいカルチャーだと感じていました。

司会:パナソニックの持っているもの、外部の事業会社を組み合わせることで何が生まれるのでしょうか。

春田氏:事業会社がファンドに投資をするのか、ということと一緒ですね。投資のリターンが目的ではありません。外に新規ビジネス創出の枠組みを作っています。自分はソフト寄りで仕事をしていたので、ソフトとして家の中の生活を考えて、「こういのがあったらいいよね」と思いついてから、それに合ったハードがあったらいいなと思うときがあります

例えば「サ高住(サービス付き高付加価値住宅)」。高齢者向けの住宅、電気製品があってもいいのではないかと思いましたが、こういったものもBeeEdgeでやっていきたいですね。

司会:昔は水を買うことは考えられませんでしたが、今は当たり前のようになり、文化になっています。家電や付随するサービスで文化を作るということは考えていますか。

春田氏:ビジネス的にみたとき、文化が創出できれば成功です。そして、こういう成功をしないとダメだと思っています。ベンチャーキャピタルのスクラムベンチャーズからも投資を受けているので、ファンドとして成功することが約束です。

司会:今回、第一弾として3カ月でホットチョコレートマシンを開発されました。河野本部長にお聞きしたいのですが、社内と外部で違うなあと思った点はありますか。

河野本部長:浜松町にBeeEdgeのオフィスがあるんですよ。そこに行きましたが、オフィスの空気感が違っていました。一人ひとりが分業していてそれぞれの役割でやっています。決められた納期の中で形にして答えを出さなければならない。そのスピード感がまったく違っていました。今回発表するホットチョコレートマシンは。実質的に8月の終わりから動き出して、モノという形にしたのは2カ月半。そのスピードはパナソニックではできません。しがらみから外れてはじめて実現できたといえます。

司会:ただ、パナソニックからみたときに優秀な社員を外に出したら、そのまま離れていくかもしれませんよね。

河野本部長:夢があって、それを手掛けて追い求めてパナソニックの中で商品化して世の中にだせればいいと思うのですが、色々な事情でそれをあきらめるか、社外に飛び出してもいいと思うのか。それは、その人が判断することです。できれば、その経験値をもって帰ってきてほしいとは思っています。

司会:春田さんにうかがいます。投資家としてリターンを求めていくとおもうが、企業文化をかえていきたいという話もされていたよね。パナソニックに対してどういう影響を与えたいと思っていますか。

春田氏:パナソニックに影響を与えたいとか、そういうのは特にありません(笑)。BeeEdgeは枠組みというかスキームで、一つではなく複数を立ち上げていきたいと考えています。それの第一弾。一定以上の台数が見込めないから、パナソニックとしてはできなくても、情熱を持った社員がチャレンジできるようにしたいと思っています。今後は、仕事の仕方も新しく生まれるかもしれませんね。

司会:「これはBeeEdgeビーエッジ案件だよね」というのはどういうプロセスになるのでしょうか。

河野本部長:あたらしいビジネスアイデアは事業部という単位で手掛けて事業化しないと眠ってしまいます。事業部として世に出せないけれど、BeeEdgeとして出せば変わるかもしれない、というものがあります。やりたいことをやりたい人がやって、うまくいけば後に続く人がでてくるはずです。夢を形にするのが基本原則です。

春田氏:日本にない取り組み、おもしろいことをやりたい。お祭り的なものではなく、モノになってお客様に届き、よかったと思っていただけるものを作っていきたいですね。

BeeEdgeの新規事業創出スキームの第一号案件、ミツバチプロダクツのホットチョコレートマシンについては後ほど!